「只今、稽古中!」

連日、五月公演『桜の田』の稽古に取り組んでいます。

ところで声の仕事と違って、お芝居は出演者全員がその場にいなければ
公演できません。

もちろんアニメや吹き替えの現場でも出演者が揃うのが理想ですが、
忙しい声優さん達です。
ときには、スケジュールの都合のつかない方だけ別に「抜いて」収録します。



録音ですから、それも可能ですが、舞台はそうはいきません。

もの凄く当たり前のようですが、たくさんの人が(お客さんも含めて)
同じ時間に同じ場所にいるというのは大変な事。

芝居が贅沢だと言われるのはそういうところからですね。



さてマウス公演の出演者は全員、声優業を普段の仕事としています。
しかも皆人気者(!)なので仕事の合間を縫っての稽古となります。

全員が揃ってのお芝居ですから、稽古もみんないなきゃなりません。
ですが、お仕事もしなきゃなりません。

本番はマネージャーやデスクが走り回ってスケジュールの都合を
つけてくれていますが、稽古まですべてそうはいきません。

いきおい、稽古には誰かがいないという事になります。

そういうときにどうするか?

じつは稽古中から本番まで、照明さんや音響さんなどのスタッフ以外に、
いろいろと手伝ってくれている若い子達がいます。

声優の卵(といっても実際に仕事してますけど)たちです。

彼らが、稽古にこられない人の代役をやってくれるのです。

代役とは、本役の演技をよく見ていないと出来ない大変な事。

それだけに、演技の勉強にもなるので、彼らも必死です。



昨日は、僕自身がお仕事で稽古に遅れてしまいました。

稽古場にはいると僕の代役を石井真くん(ファフナーの主役ですから卵ではないですね)がやっています。

普通だとすぐにありがとうといって交代するところですが、芝居もうまく流れてるし、
自分の出演シーンを自分で見る事はふつうないので、
きりのいいところまで見ていました。

それがまあ、おもしろいじゃないですか。

確かに僕の役だから同じせりふ、同じ立ち位置なのですが、

なにかがちがう。

それもすごく違う。

世にたくさんの俳優がいるのはそういう訳なのですね。

その中でベストワンにならんと切磋琢磨せねばならない職業なのだと
あらためて思いました。



本番まであと一月をきりました。

どうぞご期待下さい。





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